医療コラム

介護医療コラム(56)「訪問診療 症例その四十三」

今回の仮想患者様qさんは39歳の女性で、ご主人と中学生と高校生の男のお子さんがいる方です。仕事は公務員をされていました。約1年前から月経量が多くなることがあり、月経時以外にもおりものに少量の血液が混じることも感じていました。しかし家事や仕事も忙しく、発熱や痛みなども特にないため、婦人科健診や産婦人科への受診はせず様子を見ていました。約1か月前から下腹部痛を感じるようになってきたため、産婦人科へ受診。診察の結果、子宮頸がんの疑いがあるとのことで、総合病院の産婦人科へ紹介。そこでの精密検査の結果、進行した子宮頸がんで、子宮付近のリンパ節転移はありそうだが、他の臓器などへの明らかな遠隔転移はなさそうという診断でした。そのため数週間後、同院に入院し子宮全摘の手術を受け、再発する確率を少しでも下げるため、手術をして約1か月後より入退院を繰り返しながら、抗癌剤治療を開始。約半年間抗癌剤治療を受け、半年後にCT検査を受けたところ、お腹の中のリンパ節が腫れていて、腹水も少量認められたことから、子宮頸がんの再発と診断されました。その後抗癌剤の種類を変え、さらに約3か月間抗癌剤治療を続けました。ある日、急に腹痛と嘔吐が出現したため、急遽総合病院の産婦人科に再診したところ、がん性腹膜炎による腸閉塞の診断となり、同日入院。食事を摂ると腸閉塞を繰り返してしまうため、これ以上の抗癌剤治療は厳しいという判断となり、抗癌剤治療は中止。高カロ リーの点滴を行うため、ポートという点滴を投与するための器具を皮下に植え込む手術を実施。その後ご本人とご家族、主治医で今後の方針について話し合いが行われ、今後は高カロリーの点滴を行いながら、緩和治療を行っていく方針となりました。ご本人の希望で、残された時間をなるべく自宅で過ごしたいという希望があり、同院から当院に在宅緩和治療と点滴管理の依頼があり、後日総合病院にて退院カンファレンスという退院前の打ち合わせを各職種で行い、数日後自宅に退院。ご主人や息子さん達は仕事や学校があるため、ご本人の実のお母さんが自宅での介護を行ってくれることになり、自宅で高カロリー輸液を24時間で投与しながら、モルヒネなどにて癌による痛みなどをコントロールしていきました。約2か月後、食事や水分を一切摂っていないにも関わらず、頻回の嘔吐と腹水の増加を認めたため、総合病院産婦人科に入院の依頼をして再入院。入院して約2週間後に病院で永眠されたとのことでした。

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