医療コラム

糖尿病について

 糖尿病は近い将来、ダイアベティスという病名にかわるかもしれません。ダイアベティスというのは、糖尿病の英語名からの呼称です。同じような例として、軽蔑的なイメージがあるとのことで、痴呆症が認知症に変更されたことがありました。
糖尿病の症状は初期や軽症ではほとんどなく、中等度以上の高血糖が持続すると、口が渇く・水を多く飲みたくなる・尿が多く出る・体重が減るなどの症状が出ます。では何故糖尿病は身体に悪いのでしょう?それは、慢性的に続く高血糖の持続により、糖尿病に特有な細小血管症と呼ばれる網膜症・腎症・神経障害、及び全身の動脈硬化症の合併症を引き起こすからです。網膜症とは眼の病気で、最も悪い状態となると失明する可能性もあります。また腎症は腎臓の病気で、最も悪い状態となると透析という身体の毒素を血液中から取り出す治療を週2~3回行わなければならなくなります。神経障害とは手足の指先のしびれから始まり、症状が強くなると自律神経まで影響が及んで立ちくらみやめまいを起こすこともあります。また足の感覚がほとんどなくなることで足に傷ができても気づかず、重症な感染症の原因にもなり得ます。さらに動脈硬化症の合併症として、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞なども引き起こし、命に直接関わる重大な疾患の原因にもなります。
糖尿病の診断は、まず採血検査で血糖値やHbA1cという値などをみて、さらに検尿検査を組み合わせて、糖尿病が疑われるかとインスリンを使用しなければならない状態かを判断します。さらにインスリンを使用しなければならない1型糖尿病か、一般的に糖尿病と呼ばれる2型糖尿病かを診断し、その方の病状にあった治療を行っていきます。
糖尿病の治療は、1型糖尿病とインスリン依存状態の方ではインスリン治療を中心として行います。2型糖尿病の方では、その方の病状やコントロールの状況にあった薬剤を使用して治療を行います。
いつもコラムに書いていますが、よく2型糖尿病の患者さんから「薬やインスリン注射は一度始めたらやめられないの?」と質問されます。それに対して私は次のように答えています。「薬やインスリン注射を始めてからも、毎日食事療法と運動療法、禁煙、禁酒などをしっかり続けて、採血で血糖値が下がりすぎてしまったら減量や中止をすることはあります。しかしそのように努力される方は、100人に1人もいないかな。」
糖尿病も脂質異常症と高血圧と同様に万病の元ですので、自覚症状がないからといって軽視せずに、予防や治療を行いましょう!

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