(前回の続き)
1つ目は、救急医療の適正利用です。例えば調子が悪かったが、仕事や用事で日中に医療機関に受診できなかったので夜間急病センターに受診するという場合、日中に何とかして医療機関に受診して頂ければ、夜間急病センターに受診する患者さんが1人でも減り、他の急患の対応が速やかにできること、勤務する医療スタッフの負担が少しでも減り、安定してセンターの運営が継続できることにつながります。また例えば、夜間急に発熱して解熱剤は持っていて他の症状はないが、インフルエンザやコロナが心配なのでどうしても検査をしてほしいという理由で夜間急病センターに受診したとしても、インフルエンザやコロナの検査は熱が出てからすぐに行っても正確に陽性か陰性化の判断はできないことが多く、結局次の日に再度医療機関で再検査をする必要があるため、呼吸が苦しいなどの他の症状がないようであれば、手持ちの解熱剤を飲んで家族と翌日まで必要あれば距離を置いて頂いて、受診せず家で休んでいただくことで同様に救急医療の安定につながります。もし急に何かの症状が出現し、救急医療が必要かご自身で判断できない際には、かかりつけの医療機関や休日夜間急病センターを含め救急対応可能な医療機関に、直接行くのではなくまずはお電話でご相談ください。急を要さない救急医療を少しでも減らすことにより、それぞれの救急医療が安定し維持ができると考えます。
2つ目は、特にこの地域で三次救急を担っている北見赤十字病院と道立北見病院の救急医療体制を安定化させるということです。それを実現するには、その医療機関の医師をはじめとする医療従事者の負担を減らす必要があります。それらの病院は専門性が高い患者さんの精密検査や治療も行っています。それらを行いながら救急対応も行っているため、負担が大きくなっています。それらの病院の業務で他の医療機関で手伝うことができるのは、安定している外来患者さんの定期診察や検査、処方の業務です。それらの業務を大病院から他の医療機関に依頼することを逆紹介と呼んでいますが、これを安定している外来通院中の患者さんのご理解を頂いてもっと行うことができれば、この地域の三次救急医療の維持と安定化につながると考えます。北見赤十字病院や道立北見病院に定期通院中の方々は、他の病院へ移るというのは不安に思われるとは思いますが、もし何か病状が悪化した際には、逆紹介先の医療機関からまたそれらの病院へ紹介することは可能ですので、ご理解ご協力をお願いしたいと思います。