医療コラム

介護医療コラム(57)「訪問診療 症例その四十四」

今回の仮想患者様rさんは58歳の女性で、これまで大きな病気をしたことはなく、会社に勤務していました。約2か月前から身体のだるさと食欲の低下、お腹の張りを自覚。体重も増えていたことから、少し太ったのかと考え様子を見ていました。約1か月前からは特にお腹の張りが強くなり、妊娠中期のような腹囲になりました。また両下肢もむくむようになったため、消化器内科である当院に受診。腹部超音波検査にて腹水を認めたため、後日胃カメラと大腸カメラを実施。それらの検査では、明らかな胃がんや大腸がんは認められなかったため、総合病院消化器内科に精密検査を依頼。精密検査の結果、卵巣がんによるがん性腹膜炎の診断となりました。そのため同院婦人科で抗がん剤治療を行う方針となりました。また同時に腹痛やだるさなどの症状緩和のため、同院から自宅への訪問診療にて緩和ケアの依頼があり。自宅で緩和治療を行いながら、総合病院婦人科で入退院を繰り返し、抗がん剤治療を行っていきました。自宅での緩和治療の内容としては、胃の不快感に対して胃薬、だるさに対してステロイドホルモン、腹痛に対してモルヒネ製剤、便秘に対して下剤、腹水を増やさないように利尿剤、夜間色々考えてしまい眠れない時の睡眠薬の処方などを行いました。また抗がん剤治療後に、発熱や強い吐き気が見られた際などには、訪問看護師と連携し24時間体制で対応。薬を院外薬局に受け取りに行くことが困難 であり、急な内服薬の調整なども必要であるため、服薬指導や残薬整理も含めた訪問薬剤指導を行うための訪問薬剤師も導入。このような在宅緩和治療の体制をとりながら、総合病院婦人科での抗がん剤治療を継続できるようにサポートしていきました。約半年間抗がん剤治療を続けて、一時期腹水も減り症状も緩和され調子のよい時期もありましたが、治療開始後半年で再び腹水の増加やがん性腹膜炎の悪化に伴い食事が摂れなくなったため、これ以上の抗がん剤治療は困難と判断。ご本人とご家族と相談した結果、最期は自宅で迎えたいという希望があり。そのため引き続きそのチームで在宅緩和治療を継続。約1か月後には水分や薬も飲むことが困難となったため、モルヒネの持続皮下注射に切り替え、引き続き自宅でご家族の介護を受けながら療養。その約2週間後に、ご家族に見守られながらご自宅で静かに息を引き取られました。

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