医療コラム

介護医療コラム(8)「検視と検案」

検視または検案という言葉を聞いたことがあるでしょうか?検視とは、死因が犯罪によるものか否かを警察が判断するために、遺体の状況をみることをいいます。それと同時に犯罪性がない遺体と判断された場合には、医師による検案が行われます。検案とは、医師が死亡を確認し、死因や死亡時刻、犯罪による死ではないことを確認することをいいます。もし検視や検案で、死因が犯罪によるものではないと否定できない場合には、司法解剖を行います。北見市の場合では、旭川医科大学で司法解剖が行われ、その結果に基づいて死体検案書が作成されます。医師が治療中の患者様が、その治療中の病名で死亡した場合には、死亡診断書というものを作成しますが、検案を行った場合には、死体検案書を作成します。法律上、人の死は医師の診断がなくては成立しません。明らかに死体であっても医師の死亡診断あるいは死体検案がなくては、死亡診断書や死体検案書というものが発行されず、葬儀や火葬は行えません。例えば、高齢ではあるものの特に大きな病気をしたことがなく、薬も特に飲んでいない方が、定期的に訪問診療を受けておらず、自宅や施設で急に亡くなられた場合には、通常の死亡診断ではなく死体検案となります。もう一つ例を挙げると、ある病院に癌の治療で外来通院中の患者様がいるとします。その方が何らかの原因で、施設や自宅で急に亡くなられ、通院中の病院の医師以外の医師が死亡確認した場合にも死体検案となります。つまり入院中の、または定期的に通院している病院の医師、あるいは定期的に訪問診療を行っている医師が、治療中の病気で死亡確認した場合でなければ、通常の死亡診断とはならないのです。この死亡診断の仕組みは、他殺などの事件に関連する死体を見逃さないためのもので、検視となった場合、警察の事情聴取なども必要なものと考えます。しかし近年、一人暮らしの高齢者が増加するに伴い、具合が悪くなった際に救急車を要請できず、御自宅で死後数日経ってから発見されるようなケースが増えています。そのため北見市内の検視や検案の件数も増加の一途をたどっています。全ての検視や検案の数を減らすというのは難しいですが、癌や老衰などで御自宅や施設での看取りを検討しているご家族は、早めに訪問診療を行っている医療機関にご相談頂き、亡くなった際に警察による検視をなるべく避けて頂いた方がよろしいと思われます。

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