皆さん、訪問診療という言葉を聞いたことがあるでしょうか?もし聞いたことがない方も、往診という言葉は聞いたことがあると思います。まず訪問診療と往診の違いについてお話ししたいと思います。簡単に言うと往診とは患者さんやそのご家族から、自宅や入居施設での診療を依頼され、突発的にその都度、医師が患者さんの所へ伺い診療を行うことをいいます。これに対し訪問診療とは、自宅や入居施設での診療を定期的に、かつ計画的に医師が患者さんの所へ伺い診療を行うことをいいます。前回のコラムでお話しした在宅支援診療所では、定期的な訪問診療と突発的な必要時の往診を組み合わせて、24時間契約している患者様の在宅医療をサポートしています。 次に訪問診療や往診で行う診療内容について説明したいと思います。まず診察として血圧測定や聴診、必要時には採血検査なども行います。その上で定期薬(高血圧や糖尿病の薬など)や臨時薬(風邪薬、痛み止めなど)の処方を必要時に行います。また状況に応じて、訪問看護と連携し点滴や褥瘡処置なども行う場合もあります。対応する疾患に関しては、訪問診療を行う各診療所によって違いがあると思いますので、各診療所にお問い合わせ頂きたいと思いますが、当院では高血圧や糖尿病などの一般内科疾患、老衰、安定している消化器疾患や心疾患、脳疾患、癌の緩和医療や看取りなどを行っております。 最後に入居施設や自宅での訪問診療を検討している患者様及びその御家族の方へのアドバイスですが、訪問診療は通院や入院での診療に比べると、レントゲンや内視鏡検査などの検査はできず、採血検査も結果が出るまでに時間を要します。また急に具合が悪くなった時も、すぐ対応というのは入院に比べると困難です。さらに在宅医療の場合、ある程度御家族自身で介護ができなければ困難です。以上より、一日でも長く長生きしてほしい、具合が悪くなったらすぐ対応してほしい、食事ができない時にはすぐ点滴をしてほしい、家族が自宅での介護はできないので何とかしてほしい、というような御希望の場合には、二十四時間で対応してくれる病院への通院、あるいは入院治療や老人入居施設への入所をお勧めしています。当院の訪問診療では特に、積極的な治療は希望しないが、必要最低限の医療を受けながら、自宅や施設で最期を迎えたいという御希望の方に、可能な範囲で対応したいと考えております。