訪問看護は在宅医療を行う上で、なくてはならない存在だと思います。どうしても医師による訪問診療だけでは、患者様の身体の隅々までの観察はできず、小さな体調の変化や御家族の介護の状況、食事の摂取状況、排泄の状況などの把握は困難です。その為、より患者様やそのご家族と近い存在でいてくれる看護師の存在が、在宅医療では重要といえます。入院中や外来では、その病院の看護師さんが様々な処置や点滴をしてくれると思いますが、在宅では訪問看護師さんが必要時には24時間で対応してくれます。 訪問看護を導入するためには、まず主治医の訪問看護指示書が必要となります。基本的には、介護保険を使って訪問看護を行いますが、特定の難病やガンの終末期の患者様では、医療保険を使って頻回の訪問看護も可能となります。その他にも患者様の病状が不安定で、主治医が頻回の訪問看護が必要と判断した場合には、一か月に二週間という限定で、医療保険を使って頻回の訪問看護が可能となります。重症な褥瘡(床ずれ)があり、頻回の訪問看護による処置が必要な際にも、同様に医療保険での対応が可能となります。 北見市内には現在、訪問看護ステーションが十施設あります。どのステーションの看護師さんとも当院では連携しておりますが、いずれのステーションの看護師さんもしっかりとした対応をしてくれますし、看護知識や様々な技術なども十分なレベルだと思います。しかしそれぞれのステーションで対応可能なエリアや得意分野というものはありますので、それに関しては担当のケアマネージャーさんなどに相談頂ければよろしいと思います。 最後に、訪問看護を検討している患者様及びその御家族の方へのアドバイスですが、訪問看護は外来や入院での看護に比べると、処置をするための設備も人数も限られています。また急に具合が悪くなった時も、すぐ対応というのは看護師の移動時間もありますので、入院に比べると困難です。さらに在宅医療の場合、ある程度御家族自身で介護ができなければ困難です。以上より訪問診療と同様に、一日でも長く長生きしてほしい、具合が悪くなったらすぐ対応してほしい、食事ができない時にはすぐ点滴をしてほしい、家族が自宅での介護はできないので何とかしてほしい、というような御希望の場合には、24時間で対応してくれる病院への通院、あるいは入院治療や老人入居施設への入所をお勧めしたいと思います。積極的な治療は希望しないが、自宅や施設で最期を迎えたいという御希望の方に対しては、訪問看護は必ず必要となる存在だと思われます。