咳は様々な病気で出る症状の一つです。ほとんどの場合、発熱や咽頭痛、鼻水などを伴った風邪やインフルエンザ、肺炎などの感染症による咳ですが、それらの症状を伴わずに咳がなかなか止まらない場合には、以下の病気が潜んでいる可能性があります。
①肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)〜 これらの病気は、主に喫煙によって肺や気管支がボロボロになっている状態で、咳や痰が常に出ます。更に病状が悪化すると、坂道や階段を上がる際に息切れがひどくなり、常に酸素をしながら日常生活を送らなければならなくなります。治療は第一に禁煙、第二に薬物療法、第三に在宅酸素療法などを行います。
②気管支喘息〜これは何らかの原因で気道に炎症を起こすことで気道が狭くなり、咳を伴いゼーゼーして呼吸が苦しくなる病気です。明け方に咳が出たりゼーゼーするのが典型的な症状ですが、日中でもペットのフケやハウスダスト、冷たい空気などを吸い込むことで気道に炎症を起こし、発作が出ることも少なくありません。治療は原因の除去と薬物治療などを行います。
③咳喘息〜これは風邪などでずっと咳をしていると、咳によって気道の粘膜が炎症を起こしたりダメージを受けることで、更に咳が出て咳が止まらなくなる状態です。通常の咳止めなどで改善しない場合には、気管支喘息の治療に準じた治療を行うこともあります。
④心不全〜これは心臓の機能が低下することで肺や胸腔内に水が貯まり、息切れや咳、ピンク色の痰、全身のむくみなどを伴うことがあります。治療は心不全の治療となります。
⑤肺腫瘍〜肺に腫瘍ができると、小さいうちには全く症状は出ませんが、大きくなってくると咳や血痰、息切れ、呼吸苦などが出てきます。治療はその腫瘍の治療となります。
⑥肺結核〜結核なんて昔の病気というイメージがあるかもしれませんが、実は結核は最近増えてきています。基礎疾患を持った免疫力が低下している方にも起こりますし、何も病気がない若者に発症することも少なくありません。症状としては長引く咳、微熱、血痰などがあります。治療は隔離した上で薬物治療を長期間行うことで、結核菌を根絶します。 これらの他にも咳が出る病気は色々ありますが、原因として比較的多いのはこれらの病気に伴うものです。1ヶ月以上咳が止まらない場合や、息苦しさなどの他の症状が出てくる場合にはお近くの医療機関を受診し、一度診察を受けることをお勧めします。