黄疸とは、眼球や体中の皮膚が黄色くなる症状をいいます。これは、血液中のビリルビンという黄色の色素が多くなると、眼球や皮膚に浸透・沈着することで出現します。赤血球が古くなると脾臓に送られ破壊され、その時にビリルビンができます。さらにそのビリルビンは肝臓に送られて、胆汁に変化して体外に排出されます。この一連の作業のどこかがうまくいかなくなると、黄疸の原因となります。黄疸の原因となるものには、次のようなものがあります。 ①新生児黄疸〜これは病気ではなく、生後2〜10日くらいの新生児に起こる黄疸です。母親の胎内にいる時には、少ない酸素を効率よく全身に送るための赤血球が必要ですが、生まれた後は肺呼吸に変わり酸素を十分に取り込めるため、不要となった赤血球が大量に壊されます。この時に黄疸が出るのです。この黄疸はほとんどの場合、自然に改善していきます。 ②体質性黄疸〜これも病気というよりは、遺伝的にビリルビンが身体から排出されにくい体質を持つ人に起こる黄疸です。一部の体質性黄疸を除けば、基本的には治療の必要はなく、健康上もそれほど害にはならないため、経過観察となることが多いです。 ③溶血性貧血に伴う黄疸〜これは感染症や自己免疫的な原因などにより、赤血球が破壊されて起こる黄疸です。この場合、赤血球が大量に破壊され続けるため、貧血症状が出ます。この病気を治すためには原因をつきとめて、その原因となる病気を治すことができれば貧血と黄疸も改善します。 ④肝細胞の障害による黄疸〜肝臓はビリルビンを処理して胆汁とし、腸に排出させます。肝細胞の障害によりこの機能が低下すると、血中のビリルビンが処理されずに蓄積することで黄疸となります。肝細胞が障害される代表的な病気には、急性肝炎や肝硬変、肝臓癌、転移性肝腫瘍などが挙げられます。急性肝炎は重症な肝炎を除き、一時的な黄疸で改善することが多いですが、肝硬変や肝臓癌、転移性肝腫瘍による肝不全では、黄疸が改善せず重症化します。 ⑤閉塞性黄疸〜これは胆管結石や胆管炎、胆管腫瘍、膵腫瘍、胆嚢腫瘍、リンパ節転移などにより、胆汁の通り道である胆管が狭くなることで起こる黄疸です。胆管結石や胆管炎、手術が可能な腫瘍は、それらを取り除けば黄疸は改善します。しかし切除不能な腫瘍などでは、内視鏡や超音波を用いてチューブなどを挿入することで黄疸を改善させます。しかし悪性腫瘍の場合は最終的には狭い所が完全に閉塞するので、一時的に黄疸を改善させるに過ぎません。 以上のように、黄疸の原因は軽症から重症なものまで様々ですが、黄疸が出た場合には速やかに黄疸の原因を調べ、適切な治療をする必要があります。