医療コラム

下血、黒色便

下血というのは、お尻から赤い血が出るという症状です。この場合、出血している部位として考えられるのは、十二指腸か小腸、大腸、肛門のいずれかです。最も多いのが肛門からで、切れ痔などで肛門の外側が切れて出血した場合には痛みを伴いますが、内痔核などの肛門の内側からの出血では痛みを伴わないことが多いです。 次に大腸から出血する病気には、虚血性腸炎や憩室出血、大腸腫瘍、潰瘍性大腸炎、クローン病、感染性大腸炎などが挙げられます。虚血性腸炎とは、腸にいく血液の流れが悪くなることで大腸に潰瘍や炎症を起こし、下血や下痢、腹痛を引き起こす病気です。中高年の方に多く、軽症では自然に改善していきますが、中等症〜重症の場合には、入院して絶食下での点滴治療などが必要で、最重症の場合には手術が必要となることもあります。次に憩室出血ですが、これは大腸に憩室という小さなへこみがあると、たまにそこから出血することがあります。多くの場合自然に止まりますが、出血が止まらない場合には内視鏡での止血や輸血、手術が必要となります。大腸腫瘍に関しては2009年9月のコラムを、潰瘍性大腸炎とクローン病、感染性大腸炎に関しては、前回のコラムを参照下さい。 次に小腸から出血する病気には、小腸潰瘍や小腸腫瘍、クローン病などが挙げられます。ある種の痛み止めの飲み薬や座薬などを長期間使用していると、特に高齢の方では胃や十二指腸、小腸に潰瘍ができることがあり、ひどくなるとそこから出血することもあります。小腸の中を直接カメラで見るには、小腸内視鏡という特殊なカメラが必要で、検査が長時間に及ぶため、小腸の病気を診断するのは困難です。 最後に十二指腸から出血する病気には、十二指腸潰瘍や十二指腸腫瘍が挙げられます。十二指腸から出血した場合には、下血することもあれば次にお話する黒色便になることもあります。 次に黒色便ですが、タール便とも呼ばれ、道路の舗装工事の際に使用するコールタールのような真っ黒い墨のような便のことを言います。これは食道や胃、十二指腸などの上部消化管から出血した場合、胃酸と血液が混ざり合うことでそのような色の便になります。原因となる代表的な病気としては、潰瘍や静脈瘤、腫瘍が挙げられます。潰瘍に関しては2011年2月のコラムを、腫瘍に関しては2009年8月と2010年6月のコラムを参照下さい。 下血、黒色便を認めた場合には、なるべく早く胃カメラや大腸カメラを受けることをお勧めします。

お問合せ

〒090-0065 北海道北見市寿町5丁目1-10

0157-26-6471

発熱などの症状のある方は、来院される前に必ずご連絡をお願いいたします。