医療コラム

腹痛について(後編)

次に腹痛の性質を調べて、緊急性がある腹痛か、緊急性のない腹痛かを診断します。具体的にはお腹の触診で、押して痛いのを圧痛といい、押して離す瞬間に響くような痛みがあると反跳痛といいます。またお腹を押したときに、お腹に無意識に力が入ってしまうような強い腹痛がある場合、筋性防御があるといいます。よくある胃の痛みや胃腸炎による痛みであれば、圧痛は認めますが反跳痛や筋性防御は通常認めません。圧痛のみであれば、その時点では緊急性のない腹痛と通常判断します。反跳痛や筋性防御が認められる場合には、腹膜炎を起こしている可能性がありますので、緊急性がある腹痛と通常判断します。 前編・中編・後編で腹痛についてお話しましたが、腹痛の診断は痛みのパターンといつ腹痛が起こるのか、痛みの場所、痛みの性質などを腹部の触診で客観的に判断し、腹痛の原因疾患の予想と緊急性を診断します。言うのは非常に簡単ですが、私も消化器内科を10年くらいやっていますが、腹部の触診での判断が一番難しいと思います。しばしば消化器内科をやっていて遭遇するのが、熱もなくて採血上も特に問題ないのに、腹部の触診で緊急性がありそうと判断する場合があるということです。そういう場合に、つくづく消化器の病気は難しいと思い知らされます。また腹痛は痛みの部位以外に原因があることもよくありますので、腹痛の検査は結局胃カメラと大腸カメラ、CTやMRIなどの検査を組み合わせて行わないと十分わからないことが多々あります。その為、患者さんの負担もやや大きくなるのが難しい所です。 今回のコラムを通して1つアドバイスをさせて頂くと、お腹が痛い時に痛い所を手で押してパッと離した時に、押した時よりも離した時の方が痛みが強ければ、早目にお近くの医療機関を受診した方が良いかもしれません。これが家庭でできる簡単な腹痛の緊急性のチェックでしょうか。

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