誰もが一度は必ず経験したことがある吐き気について、今回お話しようと思います。吐き気がある場合には、以下の病気の有無を考えていく必要があります。 ①食道の病気〜口から胃への食べ物の通り道である食道に病気があると、吐き気が出ることがあります。具体的には食道炎や食道腫瘍などの病気が原因に挙げられます。 ②胃の病気〜食べ物を消化して腸に送る働きをする胃に病気があると、吐き気が出ることがあります。具体的には胃炎や胃潰瘍などで胃の動きが悪い場合や、胃の腫瘍により食べ物が腸の方に流れにくい場合などが挙げられます。 ③腸閉塞〜食べ物を消化・吸収する腸で、食べた物が流れなくなると便が出なくなり、吐き気がおこります。それが腸閉塞です。腸閉塞の原因には、腹部の手術後などに腸の動きが悪くなることや、腸がねじれてしまうこと、腸の腫瘍などが挙げられます。 ④食中毒&胃腸炎〜これらは吐き気の原因として、最も多い原因だと思います。食中毒は細菌が多量に発生した物を食べることにより、胃腸炎はウイルスや細菌が体内に入り込むことにより、吐き気を起こします。またこれらの病気の場合には、高率に下痢も併発します。 ⑤腎不全〜腎臓の機能が悪くなると、身体でできた老廃物が尿から十分出せなくなることで体内に貯まり、それにより吐き気を引き起こします。それを尿毒症と言います。 ⑥妊娠〜これはもちろん女性にしか起こらない原因ですが、消化器内科をやっていると結構この原因の方が来院されます。無論つわりによる吐き気です。妊娠に気付かず、つわりによる吐き気で妊娠が分かるケースもよく経験します。 ⑦めまい〜めまいを起こすと吐き気も併発することが多いです。めまいのため動けなくなったり、吐き気が強く水分も摂れないようであれば入院となることもあります。 ⑧脳出血〜特にくも膜下出血などでは、突然ハンマーで頭を殴られたような激しい頭痛が嘔気と共に出現します。 ⑨尿管結石〜尿管に結石が引っ掛かると、脇腹から背部にかけての急な激しい痛みと吐き気を起こすことが多いです。 ⑩その他〜以上の吐き気の原因ほどは多くはないですが、その他の吐き気の原因としては、高カルシウム血症や高マグネシウム血症、脳腫瘍、偏頭痛などが挙げられます。 吐き気の原因は様々です。激しい頭痛を伴う吐き気はすぐ脳外科に、吐き気が続くようなら内科や消化器内科で検査を受けてみましょう。