医療コラム

腹痛について(中編)

次に腹痛(背部痛)が起こる場所がどこかによって、何の臓器が痛みの原因となっているかがある程度予想できます。 ①心窩部痛〜心窩部というのはみぞおちの所です。心窩部痛が起こるのは、胃や十二指腸、胆嚢、胆管、膵臓などに病気がある時です。具体的には、胃や十二指腸の炎症、潰瘍、腫瘍、胆嚢や胆管の炎症、結石、腫瘍、膵臓の炎症や腫瘍などが挙げられます。 ②右季肋部痛〜これは右の肋骨の下あたりの痛みです。右季肋部痛が起こるのは、主に十二指腸や胆嚢、胆管などに病気がある際に多いです。具体的には、十二指腸の炎症、潰瘍、腫瘍、胆嚢や胆管の炎症、結石、腫瘍などが挙げられます。 ③背部痛〜心窩部の高さの背中あたりが痛む場合、膵臓や十二指腸に病気がある可能性があります。具体的には、十二指腸の炎症、潰瘍、腫瘍、膵臓の炎症や腫瘍などが挙げられます。またその左右の外側の辺りから腰辺りにかけて、痛みがある場合には腎臓や尿管に病気がある可能性があります。具体的には腎盂腎炎や腎癌、尿管結石や尿管癌などです。 ④右側腹部痛〜右の脇腹です。この部位に痛みがある場合には、上行結腸の炎症や腫瘍、右尿管の結石や腫瘍がある可能性があります。 ⑤左側腹部痛〜左の脇腹です。この部位に痛みがある場合には、下行結腸やS状結腸の炎症や腫瘍、左尿管の結石や腫瘍がある可能性があります。 ⑥右下腹部痛〜この部位には虫垂や盲腸、右卵巣・卵管があります。その為この部位に痛みがあると、虫垂や盲腸の炎症や腫瘍、右卵巣腫瘍や捻転、子宮外妊娠などが考えられます。 ⑦左下腹部痛〜この部位にはS状結腸と左卵巣・卵管があります。その為この部位に痛みがあると、S状結腸の炎症や腫瘍、左卵巣腫瘍や捻転、子宮外妊娠などが考えられます。 ⑧下腹部痛〜下腹部の真ん中辺りには、膀胱や子宮があります。その為この部位に痛みがあると、膀胱の炎症や結石、腫瘍、子宮の炎症や腫瘍などが考えられます。 ⑨関連痛(放散痛)〜痛みには上記①〜⑧のように、その臓器がある部位に痛みが出ないで違う部位に痛みが出る場合もしばしばあります。それを関連痛(放散痛)と言います。例えば、盲腸と一般的にいわれる急性虫垂炎の場合、まず心窩部痛が出現しその後徐々に右下腹部に痛みが移動していきます。その為急性虫垂炎の初期の症状では、胃の症状と区別がつきにくいことがよくあります。この関連痛(放散痛)があるので、腹痛の原因疾患の診断はなかなか難しいのです。 (後編に続く)

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