医療コラム

腹痛について(前編)

消化器内科で最も多い訴えである腹痛について、今回コラムを書いてみようと思います。腹痛に関しては、1回のコラムでは書ききれないため、3回に分けさせて頂きます。 まず腹痛には大きく分けて2パターンの痛み方があります。
【Ⅰ】間欠痛〜これは痛くなったり、和らいだりを繰り返す痛みのパターンです。間欠痛の場合、胃や腸の病気による痛みであることが多いです。何故なら胃や腸は動いたり止まったりを繰り返しているため、そこに何らかの炎症が起こったりすると間欠的な痛みとなります。
【Ⅱ】持続痛〜これはずっと痛みが持続する痛みのパターンです。この痛み方の場合、胃腸以外のお腹の臓器である、肝臓や胆嚢、胆管、膵臓、腎臓、尿管、膀胱、子宮、卵巣、腹膜などに何らかの炎症が起こると持続的な痛みとなります。 次に、いつ腹痛が起こるかによって、原因となっている臓器をある程度予測できます。
【ⅰ】空腹時痛〜これは文字通りお腹が空いている時に腹痛が起こるパターンです。空腹時痛に多いのが、十二指腸に炎症や潰瘍、腫瘍などがある場合です。何故なら、胃酸は食後であれば胆嚢からの胆汁と膵臓からの膵液と十二指腸で混ざることによって、酸の強さが弱まります。その為、十二指腸の病気の場合は空腹時痛が多いです。ただし空腹時痛で胃潰瘍であることも、日常診療では良くあります。
【ⅱ】食後の痛み〜食事をすると、食べ物を消化するために胃から胃酸、膵臓から膵液が分泌され、胆嚢に貯まった胆汁が胆管を通って放出されます。そして胃腸の動きが活発になります。その為食後の痛みの原因となるのは、それらの臓器に病気がある場合に多いです。具体的には、胃炎や胃潰瘍、胃癌、膵炎、膵癌、胆嚢炎、胆管炎、胆石、胆管結石、胆嚢癌、胆管癌、腸炎、大腸癌などが挙げられます。ただし、膵臓や胆管は背中の方に位置するため、背部痛となることもよくあります。
【ⅲ】排尿時痛〜尿が出るときに下腹部に違和感や痛みがあったり、尿をした後も残尿感がある場合には、膀胱に病気がある場合が多いです。具体的には膀胱炎や膀胱結石、膀胱癌などが挙げられます。
【ⅳ】食事や排尿に関係のない痛み〜食事や排尿に関係なく腹痛がある際には、腎臓や尿管、子宮、卵巣、腹膜などに病気がある時に多いです。具体的には、腎盂腎炎や腎癌、尿管結石、尿管癌、子宮や卵巣の炎症や腫瘍、子宮外妊娠や卵巣茎捻転、そして虫垂炎や腹膜炎などが挙げられます。ただし、腎臓や尿管は背中の方に位置するため、背部痛となることの方が多いです。 (次回コラムに続く)

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