胆道系の臓器には胆嚢と胆管があります。肝臓で作られた消化酵素の胆汁が胆管を通り胆嚢に一度貯められ、食事をすると胆嚢が収縮し再び胆管を通って十二指腸から胆汁が放出されます。胆汁は主に脂肪を分解する際に活躍する消化酵素で、便が黄色いのはこの消化酵素の為です。胆嚢と胆管の主な病気には結石と炎症、腫瘍が挙げられ、それぞれについて説明していきたいと思います。
①結石…胆嚢に結石があれば胆石、胆管に結石があれば胆管結石と呼ばれ、揚げ物や脂ののった肉や魚、魚卵など(以下脂物と記載)を食べるとそれらの結石が動くため、みぞおち〜右の脇腹辺りが食後に痛む方はこれらの結石がある可能性があります。検査には、腹部超音波検査やCT、MRIなどが用いられます。治療は胆石の場合、結石の大きさや性状から内服治療または外科的な胆嚢摘出術が選択されます。胆管結石の場合は、太い胃カメラを十二指腸まで入れて内科的に結石を摘出する方法と、外科的に手術で摘出する方法があります。
②炎症…胆嚢に炎症が起これば胆嚢炎、胆管に炎症が起これば胆管炎と呼ばれ、これらの炎症を引き起こす原因には細菌感染や結石が挙げられます。脂物を食べた後に急激な腹痛と発熱、黄疸などが出現した場合には、急性胆嚢炎や急性胆管炎が疑われます。治療は絶食、抗生物質の投与が基本で、重症な場合には胆嚢に身体の外から針を刺して胆嚢の中の細菌を直接外に出してしまう方法や、太い胃カメラで十二指腸から細い管を入れて細菌を腸の中か身体の外に出してしまう方法が併用されることがあります。
③腫瘍…腫瘍には良性の胆嚢ポリープ、悪性の胆嚢癌と胆管癌が挙げられます。胆嚢ポリープは腹部超音波検査で見つかることが多く、自覚症状は全くありません。 10㎜以上のものは外科的手術で胆嚢ごと摘出を検討します。胆嚢癌と胆管癌は早期の状態ではほとんど症状は出ず、ある程度大きくなって右脇腹の違和感や黄疸が出現することにより発見されることが多い疾患です。治療は大きさや進展状況などから外科的手術や化学療法(抗癌剤)、放射線治療が選択されます。早期の胆管癌を見つけることは非常に難しいですが、早期の胆嚢癌を見つけるためには定期的な腹部超音波検査が必要不可欠だと考えられます。 以上のような症状が思い当たる方や、御家族の中に胆石や胆嚢癌になったことがある人がおられる方は、健康診断の感覚で一度腹部超音波検査をお勧めします。