最近テレビのCMで、「LDLコレステロールが高いと心筋梗塞や脳梗塞を起こしちゃうよ!」という場面をよく見ます。それが高脂血症についてのCMです。高脂血症とは血液中に存在する脂質が高くなった状態で、その脂質の代表的なものにコレステロールと中性脂肪があります。さらにコレステロールはHDLコレステロールと呼ばれるいわゆる善玉コレステロールと、LDLコレステロールと呼ばれる悪玉コレステロールに分けられます。HDLコレステロールは余分な血液中のコレステロールを肝臓に運んで分解するのを助けることにより、血管に対して良い効果をもたらします。一方LDLコレステロールの値が高くなると血管の壁に付着することで血管が硬くなり、血管の内側が狭くなって詰まりやすくなります。これが動脈硬化と呼ばれる血管に対する悪影響です。また血液中の中性脂肪が増加した状態が続くとHDLコレステロールが減り、その結果LDLコレステロール値が高くなり同様に動脈硬化をもたらします。以上のことから、血液中の中性脂肪とLDLコレステロールのどちらかあるいは両方が過剰に増えた高脂血症の状態は身体に動脈硬化をもたらし、心臓に栄養を与えている冠動脈という細い動脈の内側を狭くしたり詰まらせると狭心症や心筋梗塞となり、脳血管を詰まらせると脳梗塞となります。これらの病気は現在日本人の死因の第2位と第3位を占めていますが、命に関わるこれらの病気が発症するまで高脂血症や動脈硬化による症状はほとんどありません。その為定期的な健康診断などで高脂血症の段階で発見し、食事療法や運動療法、薬物療法などで治療する必要があります。食事療法としては、肉の脂や乳製品、魚卵、鶏卵、揚げ物、洋菓子などのコレステロールを多く含む食べ物を避け、中性脂肪を高くしやすい甘いものやアルコールも極力減らし、食べ過ぎに注意してバランスのとれた食事をするのが良いとされています。次に運動療法ですが、コレステロールや中性脂肪を減らすためにはジョギングなどの激しい運動ではなく、うっすら汗をかく程度の水泳や水中歩行、ウォーキングなどが良いとされています(詳しくは前回のメタボのコラムをご参照下さい)。その他、喫煙には中性脂肪を増やしHDLコレステロールを減らすという作用があるため、動脈硬化を防ぐためには禁煙も必要な治療といえます。これらの食事療法と運動療法、禁煙などが高脂血症並びに動脈硬化の基本治療となりますが、それでも改善しない場合は薬物療法も併用し通院しながら定期的に採血検査を行っていくことが必要です。これから年末年始にコレステロールの多いご馳走を食べる機会が増えると思いますので、これらのことに注意しながら健康な身体で新年を迎えましょう!