このコラムを書いている3月10日現在、北見市内では、新型コロナの感染者は久々に激減し、インフルエンザ感染者も減少傾向です。そのため当院の発熱外来は、検査を希望される方は引き続き来院されていますが、ほとんどの方はどちらも陰性となっています。全国的にも新型コロナは現在落ち着いているのですが、色々行動制限などが緩和されているのに、何故こんなに落ち着いているのかわからないところが、嵐の前の静けさのようにも感じて少し怖いです。 さて3月13日から基本的にはマスクの着脱は個人の判断となり、ゴールデンウイーク明けの5月8日からは、新型コロナ感染症が2類からインフルエンザ感染症と同じ5類に変更予定です。しかも5月8日からは、新型コロナの検査がこれまで公費負担で自己負担額が原則無料であったものが、有料となる予定です。予定通りそうなると、5月8日以降、次のようなことが起こるのではないかと心配しています。
①発熱や風邪症状がある患者さんが、新型コロナの検査を希望されない。
現状のまま行くと、新型コロナの検査は高額になる可能性があります。そうなると、検査は希望しないが、症状があるので他のレントゲンや採血検査を希望され、新型コロナ感染者かわからないまま院内に入れざるを得ません。2類が5類に変更となるため、断ることもできません。そのため当院では、むしろ感染予防の装備を重装備に戻すことも考えています。さらには、来院されている他の患者さんへの感染リスクの上昇や、施設入居患者さんが感染して施設に戻ると施設クラスターの発生リスクも上がります。
②新型コロナに感染しても、原則強制力がある行動制限がなくなる。
現在は新型コロナに感染すると、2類感染症であるため、約1週間は自宅療養や宿泊療養が法的拘束力をもって必要となります。また濃厚接触者も、一定期間の自宅待機が必要となっています。これが5類に移行すると、法的な拘束力がなくなるので、感染者や濃厚接触者は療養や隔離が原則不要となります。そのため感染が再流行すると、これまで以上の感染者の爆発的な急増が起こる可能性があります。新型コロナの感染力は落ちることはなく、高齢者や基礎疾患がある方が重症化することには変わりがないため、そうなると施設や医療機関クラスターの増加や、重症者が急増することにより医療崩壊が起こる可能性もあると思います。 以上のようなことが起こらないためにも、5月8日以降も医療機関への受診の際や、高齢者や基礎疾患がある方に会う際には、マスクやアルコール消毒、換気などの基本的な感染対策は最低限必要だと考えます。