五月は四月同様、自律神経の影響と入学や就職、昇進、転勤、引っ越しなどで新しい生活が始まり、疲れていた所にゴールデンウィークがきて、学校や仕事に行きたくなくなるいわゆる五月病が多い月でもあります。そんな五月に多い病気は、ストレスによる病気である機能性胃腸障害や過敏性腸症候群、胃潰瘍・十二指腸潰瘍などが挙げられます。 機能性胃腸障害とは、ストレスなどが原因で胃腸の動きが悪くなり、胃カメラや大腸カメラなどの検査を行っても全く異常が無いにもかかわらず、胃の痛みやもたれ感、焼けるような感じ、膨満感などの症状がみられる病気です。 過敏性腸症候群とは、ストレスなどで下痢や便秘、腹痛、お腹の張りなどの症状がみられる病気です。機能性胃腸障害同様、検査を行っても異常は見られません。朝出勤や登校する時、または授業中や仕事中などの特に緊張する時に、腹痛や下痢を頻回に起こすのが特徴です。これら二つの疾患の治療の方法としては、まずは自律神経の調整を安定させるために、暴飲暴食や喫煙、多量のアルコール摂取を控えて規則正しい生活を送るように心掛けます。次にストレスの原因となっているものを把握し、それを取り除くことができるのであれば取り除く。それでも改善しない場合は、消化器内科での薬物療法や、心療内科などでの心理療法や薬物療法が必要と考えられます。 胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因の一つにストレスがあります。ストレスは胃酸の分泌量を増やし、粘膜の修復を弱らせることによって潰瘍の原因となります。症状としては、多くはみぞおち付近の痛みやムカムカ感であることが多いですが、無症状の方も少なくありません。特に緊急を要する症状には、イカ墨のような黒い便が出る、赤黒い大量な下血がある、真っ赤な血やイカ墨のような黒いものを多量に吐いた、などが挙げられます。これらは胃や十二指腸潰瘍からの出血を疑わせる症状で、早急に胃カメラや薬剤で治療しなければ出血多量で命を落とすこともあり得ます。また持続する強烈な痛みが出現した場合、潰瘍が深くなりすぎて胃や十二指腸に穴があいてしまい、胃や十二指腸の外に食べ物や胃酸が出てしまうことで腹膜炎を起こしている可能性があります。こうなると緊急手術をしなければ命を落とす可能性があります。 五月は色々ストレスが多い月ですが、無理せず頑張りましょう。

