四月に多いと思われる病気の一つにうつ病があります。多い理由として二つ考えられます。一つは、自律神経による影響です。冬の間は寒さを乗り切るために、自律神経の交感神経が優位になって身体が頑張っている状態となっています。それが暖かい春がやってくると、自律神経の副交感神経が優位となり、身体がリラックスした状態に変化します。このような自律神経のスイッチが切り替わる春は、うつ病などの精神疾患に影響を与えやすいといわれています。二つ目の理由としては、四月は入学や就職、昇進、転勤、引っ越しなどでストレスが貯まりやすい時期であるからです。人間は環境が変わるとそれがストレスの原因となります。ストレスはうつ病を発症させたり、悪化させたりする可能性があります。 うつ病は、年々増えている自殺の大きな原因の一つです。そのため本人や家族がその状態であるかを気付くことが、自殺を予防する第一歩といえます。うつ病の症状には、夜眠れない、朝起きれない、食欲が無い、だるさや疲れがとれない、何をやっても楽しくない、判断力の低下などが挙げられます。そして重症のうつ病の場合には、死にたいという気持ちも出てきます。うつ病はストレスを背負いながらも、何とか一人で頑張ろうという人に多いといわれています。その為なかなか家族に相談できないことが多いので、家族の人が気付いてあげられるかが重要です。私は心療内科や精神科が専門ではないので素人のようなものですが、うつ病の疑いがある患者様が来院した際に、重症なうつ病かを見分ける方法として質問する内容があります。それは、「あなたは今死にたいですか?」という質問です。重症なうつ病でない方は、この医者何を言ってるんだ?という感じで笑ったり、驚いた表情をされます。しかし重症なうつ病の方は、真顔で「はい」と答えることがあります。その為御家族や友人で心配な方がいらっしゃったら、この質問をしてみるのも一つの方法と考えます。 うつ病の方には、うつ病を悪化させるのでやってはいけないことがあります。それは励ますということです。うつ病の方は、精神的に一杯一杯になって、何とか最後の気力をふりしぼって家族や友人に相談されます。その際にもっとがんばりなよ、というような励ましの言葉は、更に精神的に追い詰めてしまいます。その為もし「死にたい」というような相談を受けた場合には、一緒に心療内科や精神科に受診してあげることが重要です。

