医療コラム

大腸がんについて

前回は胃がんについてお話をさせて頂きましたので、今回は大腸がんについてお話をさせて頂こうと思います。 大腸がんは日本において増えてきており、将来的に一番多いがんになるだろうと予想されています。それは日本人の塩分摂取量が減ってきたことなどにより胃がんが減ってきたこと、食生活が欧米化し食物繊維の摂取量が減り脂肪分の摂取量が増えたことにより大腸がんになりやすくなったことなどが原因と考えられています。前回のコラムで、多くの胃がんは腸上皮化生(ちょうじょうひかせい)と呼ばれる胃粘膜の変化を起こしたところから発生しやすいというお話をしました。これに対して多くの大腸がんは、腺腫とよばれる大腸にできるポリープのような良性腫瘍が次第に大きくなり、がん化することが知られています。その為大腸腺腫ができる原因が一般に大腸がんの誘因と言えます。ある文献では大腸腺腫ができる誘因は、極端な低繊維食や高脂肪食、肥満、喫煙、飲酒と言われています。このことから大腸がんになりにくくするには肉類の過剰摂取を控え、昔の日本人の食事がそうであったように豆類やイモ類、きのこ類などの食物繊維をきちんととり、バランスの良い食事を心掛けることが大事です。そして運動などで肥満を解消し、禁煙をすること、飲酒量を減らすことも必要と考えます。しかし大腸がんの発生はそれだけでは完全に防げません。大腸がんになるべくならないようにするには、大腸腺腫を大きくなる前に見つけて大きなものは切除して小さいものは定期的に経過観察していくことが大切です。 その為には定期的な検査が必要と思われます。具体的には便潜血反応と呼ばれる便の中に目では見えない微量の血液が混じっていないかの検査や、注腸バリウム検査、大腸内視鏡検査があります。以前に大腸ポリープを指摘された方は、大腸ポリープの性状や大きさが比較的正確にわかる大腸内視鏡検査をお勧めします。また大腸がんになったことがある方、家系に大腸がんになった人がいる方も大腸がんになりやすいといわれていますので、定期的な検診をお勧めします。一方これらのことが全て該当しない方も、なかなか胃の検診に比べて抵抗があるかもしれませんが、定期的にせめて便潜血反応検査だけでも受けて頂いたほうがよろしいと思います。 実は私の家系は大腸がん家系ではないかと自分で予想しています。私もそろそろせめて便潜血反応だけでもやってみようかなと思っている今日この頃です。肥満もありますし。胃の検診に比べて大腸がん検診は手間がかかりますが、胃がん同様に大腸がんも早期ではほとんど症状はありませんので、早期で見つけるためには定期的な検診しかありません。増えてきている大腸がんで命を落とさないように自分自身の為、御家族の為に定期的な検診を受けましょう!

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