医療コラム

「終末期医療の治療方針⑧ ~新型コロナウイルス感染症について~」

8回目のテーマは、このコラムを書いている8月中旬の現在、大変な流行となっている、新型コロナウイルス感染症に対する終末期医療について書かせて頂きます。若い世代の方では、現在流行しているオミクロン変異株であるBA5株に感染しても、ワクチンを3回以上接種していれば、重症化する可能性は低いとされています。しかし高齢者においては、ワクチンを4回接種していても、当初予想されていたよりも重症化するケースが多くみられています。実際重症化している多くのケースが、デルタ株の時のような新型コロナウイルス感染症自体による肺炎などになっているのではなく、咽頭痛で食事が食べられなくなったり、発熱で脱水になってしまうことにより、老衰が進行しているケースです。また新型コロナウイルス感染症に感染し、食事をうまくのみ込めなくなることにより、誤嚥性肺炎を併発して重症化しているケースも増えています。 現在オホーツク管内の高齢者施設では、毎日のようにクラスターが発生し、高齢者の感染者が急増しています。また若い世代から70代の通院できる世代の方々でも、感染者が急増しています。そのためオホーツク管内の発熱外来やコロナ入院病床を持つ医療機関が、共に対応できる限界を迎えつつあります。実際何の疾患で救急車を呼んでも、受け入れ先が見つかるまで、かなり時間がかかるようになっているのが現状です。 お盆で全国的に人が動いた後、今後感染者はさらに増えると予想されます。もしこれ以上、この地域で重症化する高齢者が増加した場合、入院での積極的な治療は近い将来、入院病床が満床となり受けられなくなると思われます。そうなるとこの地域では、入院できない高齢者は、自宅か入居施設での療養を余儀なくされます。しかも都市部と違い、人口当たりの医師数が少ないこの地域では、往診でコロナ対応ができる医療機関はほとんどありません。そのため、それらの療養場所での点滴や酸素投与までは、行えないと考えられます。あまり考えたくはないですが、重症化しても入院できず、療養場所での積極的な治療も受けられず、対症療法(発熱や咽頭痛を和らげるような内服治療など)のみで回復されない場合、療養場所で看取らせて頂かなければならないような、災害対応としての医療を行わなければいけない状況となりつつあります。そのためもう一度、一人一人が感染対策をしっかり行い、感染しない、感染させないようにしてください!

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