今回の患者様⑩さんは87歳女性の方で、これまで病院にほとんどかかったことがなく、息子さん夫婦と一緒に同居しておりました。約10年前から認知症の症状がみられるようになるも、本人が病院に行きたがらないため、様子をみていました。数か月前から足腰が弱り、入浴や食事、トイレも家族が介助をしなければ困難となってきました。そのためご家族は最寄りの包括支援センターに相談したところ、介護保険の申請とデイサービスを勧められました。そのため何とかご家族に支えられながら、当院に介護保険の申請のため来院。診察を行ったところ、内科的には特に問題ないものの認知症が進んでおり、老衰状態と判断しました。介護保険申請のための主治医意見書を作成し、約2か月後に介護2の判定となり、デイサービスを開始。数回デイサービスに行って入浴などのサービスを受けるも、その後行くのを拒否され継続できず。約1か月前から食事の摂取量も少なくなってきたとのことで、ご家族と担当ケアマネージャーが当院に相談のため再診。本人通院拒否されているため、訪問診療での対応をご家族は希望。ご本人は認知症があり入院や通院も拒否されているため、基本的には食事が摂れなくなっても点滴などの延命治療は行わず、急変時には自宅での看取りを行うことでご家族は了解。24時間対応の訪問看護を導入することも了解得られたため、数日後から自宅への訪問診療と訪問看護を開始。食欲を改善させるように胃薬や認知症薬での治療を行うもあまり効果なく、約1か月後にはほとんど食事が飲み込めなくなり、寝たきり状態となりました。ご家族に老衰状態であり、この状態では1週間くらいしかもたないと説明。するとご家族から、訪問診療開始前は家で看取るという方針であったが、何とかもう少し長生きをしてほしいという気持ちに変わり、入院での対応を希望。この状況では恐らく鼻からチューブを入れて栄養剤を流すような対応を続けないと延命できないと説明するも、それでも良いとのことで延命治療を希望。対応してくれる病院を探し、入院対応を依頼。数日後に入院となり、その後鼻からチューブを入れて栄養剤投与を継続しているとのことです。