一度は痛風という病名をどこかで聞いたことがあると思います。その名の通り、風が吹いただけでも痛む病気です。痛風発作は、足の親指の付け根が熱をもって赤く腫れて痛むのが典型的です。痛風は血液中の尿酸値が高い状態、すなわち高尿酸血症の状態が続くと、尿酸の結晶が関節にたまって炎症を起こして症状が出ます。高尿酸血症は痛風を起こすだけであればそれほど怖い病気ではありませんが、尿酸の結晶は腎臓にも蓄積するため、腎機能障害や尿管結石の原因にもなり、決して心配がない病気ではありません。また、高尿酸血症は痛風が起こらない限りほとんど症状が出ないため、気付いたら腎機能がいつの間にか悪くなっていたということもあり得る病気です。その為健康診断などで定期的なチェックが必要です。 高尿酸血症は、体の中で尿酸が作られ過ぎる状態となるか、または体の中の尿酸が十分外に捨てられない状態となることで起こります。前者の状態は、尿酸の原料であるプリン体を多く摂取することにより起こります。プリン体を多く含む物には、肉や生の魚介類、ビールなどがあげられます。その為これらの過剰摂取によって尿酸値は高くなり得ます。後者の状態は、脱水や腎機能障害により起こります。その為脱水を起こさないように水分を適量とり、腎臓が悪い方はきちんと病院に通院する必要があります。 次に高尿酸血症の治療ですが、まずは生活習慣の改善を行い、それでもダメな場合は内服治療が必要となります。生活習慣の改善には、プリン体の多く含む飲食物をたくさん摂取することを避け、カロリーを控えめにして多種類の食品をバランスよく食べることが大切です。それでも高尿酸血症が改善しなければ、内服薬で尿酸値を下げる必要があります。尿酸値をきちんとコントロールすることで、腎臓を悪くしないようにします。腎臓は一度悪くなると、ほとんどの場合改善させるのが非常に難しい臓器ですので、悪くしないようにすることが非常に大切です。腎臓がかなり悪くなると透析治療が必要となり、それを継続しなければ命に関わる状態となってしまうのです。 暑い日にお刺身や焼き肉を食べながら、「いやー、また痛風の発作が出ちゃったよ」と言っておいしそうにビールを飲んでいるお父さんがいたら、「ちゃんと病院に行って、検査と治療を受けなさい」と言ってあげてください。