今回の患者様④さんは87歳の男性の方で、80歳時に奥さんが亡くなり、その後自宅で一人暮らしをしていました。85歳の時に脳梗塞を発症し、脳神経外科での入院治療後にリハビリ目的に他院へ転院。約3か月間リハビリを行うも、その後左半身麻痺が残り自宅での生活は困難であると判断され、施設への入所を勧められましたが、本人の強い希望で自宅へ退院。その後近くに住む息子さんと娘さんが、交代で④さんの外来通院や自宅療養をサポートしていきました。しかし次第に下肢の筋力が低下し通院が困難となり、ほとんど寝たきりの状態となってしまったため、通院先の主治医に家族が相談。主治医から当院に自宅への訪問診療の依頼があり、数日後より訪問診療及び訪問看護を開始。本人は寝たきり状態で、家族は一緒に生活できず、金銭的にも余裕はないとのこと。そのため2週間に1回の訪問診療と訪問看護、1日2回朝夕1時間ずつの訪問介護を受けながら、昼と夜間は家族が交代で介護をすることとし、自宅療養を開始。当初はそのような体制で何とか自宅療養を継続できていましたが、次第に家族が昼や夜間来れない日が目立つようになり、夜間は一人で過ごさざるを得ない日も増えてきていました。その矢先、本人が足に湯たんぽを入れてほしいと家族に頼んで、一晩湯たんぽを両下肢にあてていたところ、翌朝に両下肢が低温やけどをしていると訪問介護士から連絡あり。同日訪問診療と訪問看護で確認したところ、両側のふくらはぎ付近に広い範囲で水ぶくれと炎症を起こしている状態で、軟膏でのやけどの処置を開始。家族に医療保険に切り替え訪問看護師に毎日やけどの処置をしてもらうよう提案するも、金銭的に厳しいため、家族がその処置を行うとのことで家族に処置の仕方を指導。1週間後にやけどの部位を確認したところ、改善見られずむしろ悪化している状況で、家族に確認したところ、忙しい時は処置できなかったとのこと。しかし軟膏やガーゼがほとんど減っていないことから、ほとんど処置を行ってもらえていないと判断。ネグレクトも疑われるため、これ以上の自宅での療養は困難と判断し、総合病院形成外科へ事情を説明した上で、入院を依頼し入院。その後自宅には退院せず、施設入所となったとのことでした。


