医療コラム

下痢をした時の正しい対応

これから寒くなるとウイルス性の胃腸炎が流行してきます。そこで下痢に関して正しい知識を持って頂いた方が、正しい対応と感染予防ができますので紹介したいと思います。まず下痢をした時にはどのようなことに気をつければよいのでしょうか?ひどい下痢をした時に心配なのは、脱水と血液中のカリウム値の低下です。飲んだ水は本来腸で吸収されますが、腸に炎症を起こすと水が吸収されにくくなるので下痢を起こします。その為ひどい下痢を起こすと身体が脱水状態になります。またひどい下痢をすると、カリウムという電解質も下痢と一緒にどんどん外へ出てしまい、低カリウム血症を引き起こすことがあります。このため下痢をした際にはまず水分とカリウムの補給が大切になります。ご家庭でできる初期対応としては、ぬるいスポーツ飲料を飲まれることをお勧めします。スポーツ飲料には糖分とカリウムが含まれ、水よりも組成が体液に近い為腸から吸収されやすいので、脱水時の水分補給に適しています。ただし腎臓が悪い方にはカリウムの過剰摂取になったり、糖尿病を持っている方には糖分の過剰摂取になることがあるため、それらの持病をお持ちの方がひどい下痢を起こした際には、翌日にはかかりつけ医に受診して頂いた方がよろしいと思われます。次に下痢に対する治療ですが、よく下痢をして外来受診される多くの患者様に、「下痢止めを処方してほしい」と言われます。その際皆さんにお答えしていますが、基本的にウイルスや細菌などの感染による下痢に対して強い下痢止めを使うと、それらを外に一生懸命に出そうとして身体が下痢を起こしている現象を止めてしまうので、身体の中にそれらがどんどん貯まり余計に具合が悪くなってしまうのです。その為基本的には、整腸剤の内服と水分補給が初期治療としてはよろしいと考えます。ただしひどい脱水を起こしやすい高齢者や小児の場合には、必要に応じて強い下痢止めを使用することもあります。最後に感染予防ですが、胃腸炎は下痢から他の人にうつりますので、下痢をしたお尻を拭いた後にはきちんとミューズなどの殺菌力がある石鹸でよく手を洗い、可能であればその後アルコールで手を消毒して頂きたいと思います。またもし下着等に下痢が付着した際には、熱湯や次亜塩素酸系洗剤で十分殺菌した上で洗濯をして頂きたいと思います。最後に下痢をした際の食事ですが、脂肪分の多い肉類や消化の悪い生もの等を避けて、煮た野菜とおかゆ程度にすることをお勧めしています。以上を参考にして、今後下痢をした際には適切かつ冷静に対応してみましょう。

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