現在の日本の医療は皆さんもご存じの通り、国民皆保険という全国民が平等に医療を受けられるような保険医療制度によって支えられています。しかし近年、少子高齢化により保険を支える働き盛りの年齢層の減少や、高齢者の増加に伴い医療保険を使う人や頻度が増えたこと、医療が高度になったことによる診療費の増加などにより、日本の医療費が増加の一途をたどり、この制度が危うくなってきています。そのため国が医療費を削減するため、様々なことを行っています。具体的には、平成26年4月2日以降に70歳になる大多数の方の医療費の自己負担割合を1割↓2割に引き上げること、国がジェネリック医薬品を推奨することにより薬剤料にかかる医療費の削減、主に急性期医療を行う病院に国が推奨する医療費支払い制度である包括医療費支払い制度方式(DPC)を導入させることにより入院期間の短縮と医療費の削減、各医療機関が各患者様に請求する診療報酬額の削減など様々なことを行っています。これらの医療費削減の為に行われている国の施策により、患者様の医療費の自己負担額の増加や、長期入院の困難化など患者様への負担が増えています。また各医療機関も診療報酬額の削減により、経営悪化のため閉院する医療機関も増えています。さらに入院治療は医療費が高額である為、自宅や入所施設に医師や看護師が訪問して医療を行う在宅医療を国は推奨しています。在宅医療は入院医療に比べ医療費は安く、患者様の自己負担額も少なく済みます。しかし在宅医療は入院医療に比べ、できることが限られているため高度な医療の提供は難しく、ある程度ご家族が患者様の介護を行う必要もあり、御家族の負担も大きくなります。また近年高齢者の増加に伴い、がんの終末期や認知症、老衰の患者様の割合が高くなってきたにもかかわらず、国は特にこれらの状態の患者様の入院治療をDPC方式により難しくし、在宅医療で行うことにより医療費の削減に繋げています。このように在宅医療を推進してきた国ですが、平成26年4月から在宅医療を行える患者様の限定化や、在宅医療の診療報酬も極端に削減してきており、ただでさえ在宅医療を行う訪問診療医が少ない中、さらに訪問診療医が少なくなる恐れもあり、正直国は診療報酬の削減ばかりを考え、何をしようとしているかもわからないような状況となってきました。特に北見市のように、人口に比べて医師数が少ない地方都市では、これらの国の施策に影響するところは大きく、入院医療どころか在宅医療も受けられない患者様の増加が懸念され、患者様も不安になると思われますが、医療を行う側も不安になってきている状況です。

