日常診療において多くの患者様からよくこの二つの質問を受けます。①は健康診断などでこれらの病気を指摘され、再検査で受診されて内服治療が必要な患者様に、内服治療をお勧めする際によく質問される内容です。この質問に対して私は次のようにお答えしております。「これらの疾患のほとんどは生活習慣が原因となっています。現時点で自覚症状はほとんどないですが、今の状態を放置しておくと動脈硬化などが進行し、脳梗塞や心筋梗塞などの重症な疾患へとつながります。それを防ぐためにも現時点で内服治療が必要です。内服治療を開始するとほとんどの方は薬をやめることはできません。しかし中にはこれらの薬をのみ始めてもやめられる方がいらっしゃいます。それは内服治療開始後に御自身の食生活や運動不足を徹底的に見直して改善される方です。私がこれまで経験したこれらの薬をやめることができた方々は、内服開始後に毎日2〜3時間ウォーキングや水泳などの有酸素運動を開始されてほとんど1日も休まずに続け、なおかつ食事も御自身で減塩や脂肪分のカット、ジュースや間食の中止、カロリー制限などを徹底的に行った方です。これらの方々は内服開始後、血圧や血糖値、血中脂質値が正常値よりも低くなってしまうので、自ずと内服治療を中止せざるを得なくなります。しかしそこまで頑張れる方は、これらの疾患をお持ちの患者様の100人に1人もいらっしゃらないと思います。そのためほとんどの方はこれらの薬を飲み始めるとやめられなくなるのです。内服治療開始後に薬をやめられるかどうかは御自身の努力次第なのです」と。 ②も不眠症や便秘症で受診され、内服治療をお勧めする際によく質問される内容です。それに対して私は次のようにお答えしております。「基本的には睡眠薬や便秘の薬には依存性はなく、のみ続けると効かなくなってくるということもありません。むしろ不眠症が続くとストレスで血圧が上がったり身体の調子が悪くなるので、無理せず睡眠薬を内服して夜は眠るようにした方が身体に良いと思います。また便秘に関しても、便秘が続くと腹痛や吐き気、食欲不振などの原因となり、ひどい便秘になると腸閉塞や腸に潰瘍を起こす原因にもなり得るので、内服薬を使ってでも定期的に出した方が良いですよ」と。 以上、これらの病気で内服治療を悩まれている方は参考にしてみてください。

