医療コラム

検診はなぜ必要? 〜実際の医療現場から〜

ちょうど1年前にこのコラムで、北見市の検診受診率が他の都市に比べて非常に低いということを書かせて頂きました。北見市の広報誌の情報では、昨年は例年よりもやや検診受診率が上がったと書かれていましたが、それでもまだまだ低い受診率になっています。私が北見市で働き始めて約1年が過ぎましたが、実際の医療現場の状況から北見市の現状をお話ししたいと思います。私の専門は消化器内科ですので、がんの中でも特に食道がんや胃がん、大腸がんの患者様をよく診させて頂いています。北見市でそれらのがんを内視鏡でみつける際に、他の都市の病院でみつける時よりも、大きな状態で見つかっている様な印象があります。これは定期的にがん検診を受けずに、いろいろな症状が出ているにも関わらずかなり我慢して、いよいよその症状が我慢できなくなってきたので検査をする、という方が北見市では多い為だと思われます。他の都市でそれらの病気を見つける時には、「検診でひっかかったので症状はないが検査を希望」という方が多い為、北見市で見つける時よりも比較的小さな状態で見つけることができます。小さな状態で見つけられればこれらの病気の場合、お腹を切らずに内視鏡での切除が可能であったり、手術になったとしても手術だけで完治が可能となります。そうなれば治療による身体の負担や後遺症を減らせる、治療費が安く済む、などのメリットがあります。以上から消化器に関しては是非、少なくとも1〜2年に1回の胃カメラか胃バリウム、大腸カメラか便潜血検査を受けて頂きたいと思います。 次に検診の採血検査で、「糖尿病の疑い」や「高脂血症の疑い」、「高血圧の疑い」などで再検査の指示が出ているにも関わらず、再検査を受けずに放置している方はいらっしゃいませんか?実際の医療現場で良くある話ですが、「2〜3年前からそれらが指摘されていたが、症状がないので放置していた。」という方が、気付かないうちにそれらの病気が悪化して、重症な状態となって初めて受診される、ということがあります。これらの病気は軽症ではほとんど症状が出ないため、検診で軽症の状態で見つけようとしているのです。これらの病気があると、脳出血や脳梗塞、心筋梗塞など命に関わる状態になりやすいといわれていますので、軽症のうちから治療を開始すべきなのです。 検診は受けるだけでは全く意味がなく、ひっかかって再検査や精密検査を受けることで初めて意味のあるものになります。もし検診を受けていない方は是非今年検診を受けて頂き、検診でひっかかった方は是非お近くの医療機関で再検査や精密検査を受けて頂きたいと思います。そして一人でも多くの北見市民の方が、未然に防げる病気で命を落とすことがないよう、北見市出身の医師として心から願っております。

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